根の治療は簡単にできるの?

私は大学の歯内療法の専門診療科で多くの症例に接し、診断力、技術力を高めてきました。患者様の中には、虫歯がひどくなったら神経をとって詰めて貰えばよいと簡単に考えておられる方がおられます。しかし、実は根の治療には高い技術力が必要で、根気よく慎重に、回数をかけて行う必要のある大変難しい治療なのです。患者様が難しさに気づかれないのは、根の治療がうまく行ってなくても、免疫力で抑えられていて腫れや痛みが出てくるのが半年から長いときは1,2年後だからです。

根の治療の現状

日本の歯科医療における根の治療の技術力は本来アメリカと同程度です。しかし、残念ながら根の治療の成功率はアメリカにおけるそれに比べ低いのが現状です。その要因のひとつは日本の保険制度において、根の治療の技術に対する点数評価が低いことにあります。難しいケースに対して時間と回数をかけて、慎重に根の治療をすると赤字になってしまいます。そのため、どうしても短期間に根の治療を終えてしまわなければなりません。このような現状も成功率を低くする要因と思われます。これに比べて、アメリカでは一本の歯の根の治療に高額の医療費が認められています。日本でも、アメリカの様に歯内療法を自費診療でされている先生もおられます。その場合、奥歯一本の歯の根の治療費は10万円を超えます。
当クリニックでは、最新の歯科器具と高い技術力によってなるべく短い期間で、確実に根の治療を行なう様努力しています。それでも時間をかけないと治らない難症例はありますので、根の治療の採算が合わなくても回数をかけて根気よく、最善の治療を目指して頑張っています。

何故根の治療が難しいか

多くの患者様のイメージでは、虫歯が大きくなって神経が出てしまったら、簡単に神経をとって詰められるものだと考えておられます。しかし、根が曲がっていたり、根の神経が細くなっていたりして根の中の掃除(根管拡大といいます)が難しいケースや根の先の神経の入り口が枝分かれしていて掃除が不可能なケースがかなり多いことを知っておいて下さい。実際の歯の根では一本の神経が根の先から単純にまっすぐ入ってきている方が少ないのです。また、根の治療で使うドリル(ファイルといいます)は金属なので、曲げられる限界があり、根が曲がっていると根の中の掃除が難しかったり、不可能に近い場合もあります。ですから、虫歯は初期の段階で治して、なるべく神経をとらないで済む様にすることがなによりも大切です。

当クリニックでの歯内療法

当クリニックでは、最新の特殊な器具を使うことにより曲った根や根の神経の通り道(根管)が細くなってしまっている根の治療を成功させることを可能にしています。
それでも、根の先の病気の再発を起こさないように根の治療をきちんとするには時間と回数がかかります。この点は患者様にもご理解いただきたいと思います。

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